「うっひょ~!やっちゃった!金髪にしちゃった!!!」
中学3年生の夏頃から、ボクは学校に行かなくなった。全てがどうでもよく感じていた。その象徴のように、頭も金髪になった。
友達の家で数百円の金髪用のブリーチをして、白いほどではない、茶色が残っているような金髪になった。
金髪が似合ってないことに気が付いた
最初はテンションが上がった。刺激的だった。悪いことをしているような気分だった。
でもしばらくしてから気づいた。
「金髪、似合わないな~…。」
ボクは金髪が似合わなかった。
ボクの肌は白くない。どっちかと言えば黒い方だと思う。
顔も薄い系の顔じゃない。
なんていうか、金髪が馴染まない顔だった。
でも金髪への憧れがあった。二次元の世界にあこがれていたんだと思う。
何回も金髪にしては試してみた
黒髪に戻して、なんとか訳わかんない謎の全寮制高校に行った。
でも1年でやめた。学校生活が元々嫌いだった人間だ。全寮制なんて地獄だった。
実家に帰ってきて、アルバイトしながら適当に生活する日々が始まった。
コンビニは金髪禁止だったけれど、メッシュならいいだろうと思って、前髪に金メッシュを入れた。
「ふむ…これなら似合わないことは無いな。」
次はまた、全部金髪にしてみた。
「まったく似合わんな…。」
次は金メッシュをモヒカンラインに入れてみた。
「まぁ悪くないな。」
また金髪にしてみた。
「やっぱりダメだな…。」
今度は金髪がかぶさったような、しかし顔周りには黒を残すように金髪にしてみた。
「これはいけるな。」
ここでボクは気づいた。顔周りに黒色を残せば金髪にしてもいけるのだと。
全面金髪は全く似合わないんだけど、顔周りだけ黒ければ中和されるというか…合わないものどおしの仲介役になってくれるのだ。
自分に似合わないことがある。しかし工夫すればいけることもある。
金髪に憧れがあった。何回も金髪にしてみた。でも似合わなかった。
いくら憧れていても、ボクの肌は白くないし、顔のパーツも薄くはない。
願ったとしても、元々のキャラを変えることは難しいのだ。
元々のキャラに合っているかどうかはとても重要だと思うし、似合わないことはやめておいた方が良いと思う。
そこは理想と現実だ。
ただ、色々工夫してみた結果「これならいいんじゃない?」という形が見つかることがあるのも事実だ。
「理想をそのまま現実に持ってくるんじゃなくて、現実用にちょっとアレンジすればいいんだな!?」
こんな学びがあった経験だった。
ちょっと話が外れてしまうかもしれないけど…例えば…ボクが陸上選手で、陸上競技で何か結果を残したい…できれば100m走で、と思っていたとする。
しかし、体格の問題だとか始めた時期の問題だとか、いろんな要素がボクに足りなかったとする。
そこで100mにしがみつくか?
それよりも、
「ボクにもっと合う競技は無いかな?」
と考えてみるか?
こういう話題にも、あの金髪経験は通じるかもしれないなと思う。
そもそものキャラがまず決まっている。この前提は中々くつがえせない。
最初のガチャで出たキャラを活かしていかなければいけないゲームなのだ。
合わないものは合わないんだから仕方がない。しかし理想を捨てることもない。
合う形を考え、試すことには意味が、価値があると思う。