新しい刺激的な情報は論文に詰まっている!論文が読みたい!ということで、日々論文を読める人間になるべく切磋琢磨しております。
論文を読むにも英語が分からんと困るという問題と、そもそも論文ってのはどうやって読むべきなんだという問題の、2つの壁があるのです。
英語の方は日々勉強していて段々英語力も高まってきているので良しとして、論文の読み方が分からなかったので調べたところ、東京大学の準教授「矢谷 浩司」さんの「論文の読み方」という記事を見つけました。
さすが東大の方、英語も散りばめられているし、書かれている内容は丁寧なんだけど中卒には触れにくい文面。(多分アタマの良き方としては普通なのでしょう)
一応「ふむふむ」とはなったので、ザックリと要点だけまとめておこうかと思います。
論文を読む、とは?論文を読む目的
読んで自分なりにその研究を理解し,自分の研究に生かしていくことが,論文を読む目的です.
自分のアイデアと比べて,重複しているのかどうか,使えそうな知識や技術はあるか,この論文ではまだ明らかになっていないことは何か,を明確にしていくことが,「論文を読む」ことの本来の目的です.
理解して、自分の研究に活かす為に読むのですよ~ということですな。
ちなボクの場合は、新しくタメになる情報を実生活や練習に使って試してみたいというモチベーションで読む感じになります。
論文を探す
何はなくともgoogle scholarから始め,その後他の検索エンジンを使ってみましょう。
元々グーグルってのは論文の検索エンジンだった~ということで、論文を探すにはやはりグーグルが有用なんだそうです。
適当に検索してみると色んな論文が出てきて面白いであります。日本語の論文ならすぐに読めますしね!
有用な論文の条件とは?
論文には良いものもあまり参考にならないものもある訳であります。
そこで矢谷準教授が挙げた4つのポイントが下記です。
タイトルを読んでみて自分のアイデアに近そうなもの 引用数の多いもの(一概には言えませんが,50以上) 我々の分野で有名な会議や自分のアイデアが最も関係する会議で発表されているもの 著者の中によく見る人の名前があるもの
信頼性が担保されているかを、これらの項目でチェックする訳ですね~。1は当然として、2~4で権威性的なものを確保しまして、判断と。
さらに、論文をポチしてみて「読むべき論文かどうか」を、アブストラクト、論文の要旨、つまり要約部分を読んで判断します。
矢谷準教授いわく、アブストラクトは150ワードくらいで大抵記述されてるそう。そこを見まして、
・この論文が何をしたのか(どんなシステムを作ったのか,どんな調査をしたのか)
・どんなことがわかったか
をチェック。確かに、論文を不慣れなボクでも、アブストラクトを見るとその研究内容がザックリ分かります。
- こんなコトを確かめたいからこんな研究をしてみたよ~
- そしたら何パーセントでこうなって、ああしたら何パーセントになったよ~
- 有効性を示す結果になったよ~
みたいなことがザックリと書いてあるので、ココで一つの判断が出来そうでした。
論文は何本読むべきか問題
コレはあまりボクには関係ないのかもしれませんが、研究プロジェクトを実際行う際は、経験上50本程度はさらう必要があるんだそう。もちろんそれよりも多くなることも。
色んな論文を見た上で、何をどう研究するのかを考えていきましょうねということですね~同じ内容はもうやる必要ないですしねぇ。
論文は時間制限して読むのが吉
さすが東大の方。ちゃんと時間制限を設けて読むことを推奨しております。
人間の集中力の限界も加味して、90分内に、慣れてきたら1時間、いや30分でと、読む時間をなるべく早くしていけるようにと提案していますね。
確かに、何十本も読むとなれば、ゆったり読んでいるヒマはありませんw
論文はただ読むのではなく要約せよ
漫然と読むことを防ぐため,論文を自分の言葉でまとめながら,読んでいきます.
アブストラクトのコピーではだめです.必ず自分の言葉で要約しましょう.
さすがのさすがです。自分の言葉で要約しながら読むことを推奨されています。
以前から東大の方々の思考や生活習慣などに注目し始めたのですが、やっぱりこの方々はスゴいな~。参考になりまくります。
論文をまとめるためのフレームワーク「TAMMIC」
要約する際の便利なフレームワークがありまして、そのフレームワークにあてはめていきましょ~と推奨されてます。
- Title: タイトル これはそのまんまですな。
- Author: 著者,所属 ここ意外と重要らしいのでちゃんとメモ。名前を覚えておくと吉らしい。
- Motivation: 研究の出発点 既存の研究で足りないところをどう研究しようとしたのかをメモ。
- Method: 研究手法 どんな調査・実験をしたか?をメモ。
- Insight: 結果と知見 どんな結果が得られたのか?をメモ。
- (One-sentence) Contribution Summary: 貢献を1行でまとめる コレにあてはめれば1行でまとめられるとのこと→「[Author]は[Motivation]という課題のため,[Method]を行い,[Insight]がわかった.」
このTAMMICの最後のフレーム、
「[Author]は[Motivation]という課題のため,[Method]を行い,[Insight]がわかった.」
を見た時、
天才か?( ◜ᴗ◝ )
ってなりましたw あてはめるだけでマジでまとまるやないか!最強やないか!
KURRで新しい情報を整理
TAMMICに続いてまたよく分からん言葉が出てきよったぞって感じなのですが、大丈夫。そんな難しい話ではないやつです。
- Keyword: キーワード 検索に使えそうな新しいキーワードを見つけたらメモ
- Unknown: 残った課題 まだ解決してない課題をメモ。
- Reflection: 考察 感想みたいなものもメモ。あとで自分の研究で引用する可能性とかも書いておく。
- Reference: 関連研究 関連研究として挙げられているもので読んでいないものとかは読む。
この4つをまとめて、次の論文にまた進む訳ですな。
そんでこのTAMMICとKURRをまとめながら論文を読んでいくと、段々と「新しいキーワードや関連研究がなくなってくる」んだそうな。
そうなってくると、「その話題についての論文は大体読み切れた状態」ということになると。
論文のカテゴリ分け
論文をたっくさん読んだら「似てる論文」ってのもいっぱい出てくるみたいでして、そういうのはクラスタリングして分けておきましょ~と推奨されてます。
キーワードとか内容が似てるとかで分けておくと後で便利っぽいです。
論文の読み方中級レベルで確認すること
ここまでのやり方は実は初級編(マジか)でして、TAMMICだのKURRだのは慣れてくると頭の中でできるようになるんだそうな(天才か)
そして中級レベルになると以下のようなこともメモりましょうと。
・自分の研究分野の「レギュラー」か.よく見る人の論文であれば,その人が出している関連する他の論文がないか,も後で確認しましょう.
・研究背景の説明をどのようにしているか,研究の動機をどのように説得力あるように説明してるか.
・関連研究をどのように分類,整理して,説明しているか.
・システムやインタフェースの設計をする際にどのようにその設計を正当化しているか,なぜ論文で実装されている方法で良いという仮設が立てられるのか.
・実験をどのように計画し,実行しているか.例えばタスク設計はどのようにして,なぜそれでよいか,を主張しているのか.
・論文の中でどのような表現・言葉遣いが自分の論文でも使えそうか.
・図やグラフ,ビデオの見せ方で参考になるものはあるか.
言葉がズラズラと並ぶとゲロォって感じなのですが、要はもうちょっと突っ込んだところまでいくぜよ!ってことです。
論文の読み方上級レベルになると?
上級レベルは「この論文を学会に通すかを判断していると思って読む」のだそうです。査読というやつです。
で、その際のチェックポイントが下記なんだそうな。
・Overall review score: 査読スコア,大抵1–5で5が一番よい.
・Review confidence: 自分の査読にどの程度自身があるか,あるいは自分の専門分野に近い論文か,1–4で4が一番高い.
・Summary: 論文が何をやっているかの要約.1パラグラフでOK.
・Review: 査読コメント
多くの場合は5~7パラグラフくらい.文法の誤りなど,細かいツッコミを書くこともあるが,基本は論文が提供する貢献に対してのコメント.特に,
どういう点が新しいのか?
提案されているシステムや手法はどのように信頼できるのか?
行われた実験が研究の目的・方向性に合致しているのか?
実験結果の信頼性を損ねてしまうような問題点はないか?
他の研究者が再実装・再実験可能な程度の情報が提供されているか?
その他,信頼性を損ねてしまうような問題点はないか?
・Confidential comments to program committee: 著者には送らないけど査読コミッティーには伝えたいようなメッセージ
ゲロォ( ´ㅁ`; )w
でも多分やってみると、あ~そういうことねってなりそう。お堅い文章が並ぶとゲロ感を感じてしまうだけで、慣れの問題な気がする。
まとめ
という訳で、東大準教授の矢谷さん流論文の読み方のまとめでした~。
で、ボク的にここらへんが要点って所を更にまとめておきますと、下記4つです。
- 自分なりにメモしながら要約しながら読む
- 時間制限して読む
- 色んな関連論文も読む
- フレームワーク便利
ほいで、今回の論文の読み方をまとめながら思ったことなんですが、
「コレ、論文に限らず使えるよね?」
ということです。
ザックリ言えば「何かを読む時の良いやり方」を解説してくれてるようなものですから、例えば本を読んでレビューする時とか、こうしてまとめ記事を書く時とか、何でも使えるじゃんって思ったんです。
細かいところまで完璧主義超発揮してやりきらずとも、「まぁココは重要ですな!」ってところをメモとかハイライトしながら読み、時間も制限してサクサク進め、関連書籍も読んで情報を網羅してから結論を出したり…うむ、良いですねぇ。
でもこう書いてみると、そりゃそうかって気もしてきますねぇ(´・ω・`)w
まぁそんな感じでした。役に立つ人がどれぐらいいるのか問題ありますが、なんかふむふむって思うところがあれば幸いでございます。
それではまた明日♪